美容医療と聞くと、唇がパンパンにふくらんだり、頬がやけに盛り上がったりした不自然な顔つきを連想する人もいるのでは。それはもう昔の話。技術や使用するアイテムの進化とともに、美容医療はナチュラルな美しさを手に入れられる治療として認識されています。その人らしい魅力やキレイを引き出すために、日々の治療で気を付けているポイントをW CLINIC 理事長の足立 真由美 先生に教えていただきました。

監修・取材協力:足立 真由美 先生(W CLINIC 理事長)

美容医療でナチュラルな美しさを目指すポイントとは?

アンチエイジングに気をつけたい女性

昨今の美容医療は、技術をはじめ、使用する薬剤や機器も進化していて、自然な美しさを手に入れることが可能です。ご自身の顔立ちを生かした美しさを目指す際に気を付けておきたいポイントを足立 先生に伺いました。

ポイント1:気になる部位だけを注視しない

ほうれい線」や「目元のたるみ」など、顔のなかで目立つ悩みがあると、その部分だけをどうにかしようと考えがちです。

しかし、実はほうれい線や目元のたるみといった加齢による顔の変化は、顔の一部分だけに原因があるのではありません。全体のバランスが少しずつ変化することによって生じています。(1) 気になる部分だけに注目しすぎると、全体のバランスを見失い、不自然になるケースがあるので要注意です。

ポイント2:ボリュームロスを考慮する

年齢を重ねると顔のバランスが崩れるのは、の萎縮をはじめとした「ボリュームロス」によって、顔の内部が変化することが主な原因です。(1)

加齢とともに骨密度が減少し、へこみや広がりが起こるイメージ
加齢が進むと皮下脂肪の量が減少する

土台となる顔の骨が縮み、皮下脂肪が減ったり、垂れ下がったりすることで、顔全体のバランスが若い頃とは少しずつ変わっていきます。(1)

ボリュームロスが始まるのは個人差がありますが、30代頃からといわれています。(1)

ポイント3:年齢にふさわしい自然さを保つ

しわたるみが気になるからと言って、過剰に老化に抗おうとすると、ナチュラルさがなくなってしまいます。

年齢に合った自然さを意識することも大切です。

顔全体のバランスを整えつつ、加齢によって生じるしわやたるみなどの凹凸を和らげて、その人の持つ魅力を生かすことを考えると、ナチュラルな美しさが演出できるでしょう。(2)

ポイント4:横顔のラインも意識する(オージーカーブ、Eライン)

正面から見た顔だけでなく、横から見たときの美しさも意識してください。

横顔の美しさでポイントとなるのが、オージーカーブとEラインという2つのラインです。

オージーカーブとは、額から頰にかけての曲線のこと。頬が丸みのある曲線を描いていることが美人顔に見えるポイントといわれています。(1),(3)

オージーカーブのある顔とない顔の違い

Eラインは、横から見たときの鼻先から顎にかけてのラインのこと。鼻先、唇、顎が1本のライン上にあることが美しい顔の条件といわれています。(1)

Eラインとは鼻先と唇とあご先をつないだラインを指す

加齢にともない、オージーカーブは損なわれやすく、あごや唇のボリュームも失われてEラインも崩れてしまうことを知っておきましょう。

ポイント5:肌の質感も整える

肌の質感について解説する医師

肌の質感の美しさも、重要なポイントの一つです。

下記のような条件を満たすのが、美しい肌といわれています。(4)

  • 肌に潤いがある(肌表面の角層の水分量が十分で、適度な皮脂に肌表面を守られている)
  • ハリがある(コラーゲンや、肌に柔軟性を与えるとされるエラスチン、ヒアルロン酸などの働きで表皮が支えられている)
  • キメが細かく整っている(肌表面の皮溝という網目状の細かい溝が狭くて浅く、それに囲まれるように菱形あるいは四角形に盛り上がった皮丘が比較的均一な状態)
  • 毛穴が目立たない

スキンケアはもちろんのこと、肌質改善が期待できる治療も多くあるので、活用すると効率的に肌質を整えられるでしょう。

自然で自分らしい美しさを叶えるために、美容医療でできること

美容医療でできることを説明する医師とそれを聞く女性

一人ひとりのナチュラルな美しさを引き出すための治療はさまざまありますが、比較的初心者も取り入れやすい治療は以下が挙げられます。

※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません

そのなかでも今回はさまざまなお悩みにアプローチしやすいヒアルロン酸注射について詳しく伺いました。

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射は、私たちの体内に広く存在する物質であるヒアルロン酸を体組織に注入する施術です。(1)

硬さや材質の違う種類のヒアルロン酸製材がさまざまあり、使用する部位やお悩みに合わせて、適した製材を使い分けています。

手術に比べて身体への負担が少なく、1回の施術で効果を実感しやすいことが魅力です。

・ヒアルロン酸注射でアプローチできるお悩み(1),(5)

ヒアルロン酸注射でアプローチできるお悩みは、ゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットライン、フェイスライン、あご、目元の小じわやクマ、頬のコケ、肌の乾燥、唇

参考文献
(1) 古山 登隆:解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法:メディカルレビュー社.2020
(2) 関谷 秀一:美容皮膚医学BEAUTY.2023.6(3):8-11
(3) 今泉明子:成功する顔しない顔人生を劇的に好転させる究極の美顔術:サンライズパブリッシング.2022
(4) 安田 利顕,漆畑 修:美容のヒフ科学 改訂10版:南山堂.2021
(5) KM Kapoor,et al.:Clin Cosmet Investig Dermatol.2021;14:1105-1118.

監修・取材協力

W CLINIC 理事長 足立 真由美 先生

W CLINIC 理事長 足立 真由美 先生

和歌山県立医科大学卒業(2001年)。大阪医科大学大学院医学研究科卒業 医学博士取得(2003年)。医療法人東和会 第一東和会病院 形成外科、美容クリニックでの勤務を経て、2014年大阪 心斎橋にW CLINICを立ち上げる。2017年医療法人涼葵会 理事長に就任。2019年には梅田院も開院。からだ本来の健やかで美しい状態を目指し、ホリスティック医療を取り入れた多彩なアプローチで最新の美を提供している。

W CLINIC 心斎橋院

住所:大阪市中央区南船場4-5-8 ラスターオン心斎橋9階

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