年齢を重ねると気になりだす人もいる「頬のコケ」。老けて見えたり、やつれて見えたりするので、悩んでいる人は少なくありません。頬のコケが起きてしまう原因と有効な対策をLa Vie clinicの平松 先生に教えていただきました。

監修・取材協力:平松 恵梨 先生(La Vie clinic 統括院長)

頬がこける原因は顔の内部の変化

頬がこける原因には、骨や筋肉、皮下脂肪などの顔内部の変化が大きく関わっています。主な要因は加齢ですが、ほかに短期間での無理なダイエットなどでも生じることがあります。

顔の内部で具体的にどのような変化が起こって頬がこけるのか、詳しく説明しましょう。

原因1.骨密度が減少し、顔の骨が縮む

顔は骨・筋肉・皮下脂肪・真皮・表皮の5つの層から成り立っています。これらの層が加齢に伴い少しずつ変化することで頬がこけたり、しわたるみが生じたりしていきます。(1)

肌の構造

は、一番下で筋肉や皮下脂肪、皮膚(真皮・表皮)を支える「土台」の役割を果たしています。しかし、加齢とともに骨密度が減少して縮むと、こめかみや眼窩(がんか:眼球が入っているくぼみ)のまわりが広がるほか、頬・あごのまわりの骨がへこみ、やせこけます。そして、頬のコケに大きな影響を及ぼします。(1),(2)

加齢とともに骨密度が減少し、へこみや広がりが起こるイメージ

原因2.皮下脂肪の量の変化や移動(下垂)

加齢が進むと皮下脂肪の量が減少する

骨の萎縮に加え、皮下脂肪の減少も頬のコケに影響します。

頬は特に皮下脂肪の移動(下垂)が起きやすい部位であるため、頬の丸みが減り、こけてしまいがち。(1),(2)

また、極端な食事制限などで短期間に過度に痩せることも、顔の皮下脂肪が一気に減って頬のコケにつながるので注意が必要です。

原因3.支持靭帯(リガメント)とSMAS(スマス)が衰える

リガメントやスマスが衰えると支えていた皮膚や脂肪が垂れ下がる

顔の皮膚や表情筋と骨をつなぎ、支える「支持靭帯(リガメント)」と皮下脂肪と筋肉の間に存在する筋膜「SMAS(スマス)」。これらが加齢によって衰えると皮膚や脂肪の垂れ下がり(下垂)が助長され、頬のたるみやコケが目立つようになります。(1)

原因4.肌のハリや弾力性の低下

加齢が進むと表皮の内側の真皮などに変化が起こる

加齢や炎症などのストレス、紫外線ダメージが長年蓄積することで真皮や基底膜に加齢性変化が起こり、肌自体のハリや弾力が低下することも、コケに関係しています。

肌の弾力性が失われた結果、頬の滑らかな曲線が崩れ、頬がこけたように見えてしまうことがあるのです。(1)

原因5.表情筋の減少・衰え

加齢によって表情筋が衰えると、その上にある皮下脂肪や皮膚(真皮・表皮)を支えられず、頬のたるみにつながるほか、骨の支えがない頬骨の下部分がげっそりし、こけて見えることがあります。(2)

頬の状態を知る上で覚えておきたい「オージーカーブ」とは?

オージーカーブのある顔とない顔の違い

オージー(Ogee)カーブとは、建築やデザインの世界で理想的とされているS字の滑らかな曲線のこと。若さや美しさの象徴ともされていて、人の顔においては主にこめかみから頬にかけての、S字のなめらかな曲線を指します。(1),(3)

若い人にはオージーカーブが見られることが多いですが、加齢などによって崩れる傾向があります。

また、日本人を含むアジア人(モンゴロイド)は、そもそも骨格の影響で横顔が平坦な傾向があり、オージーカーブが目立ちにくいケースも少なくありません。(4)

ふっくらした頬をキープ・取り戻したいなら美容医療を選択肢に!

頬のコケには顔内部の変化が影響しているため、セルフケアで改善することは残念ながら難しいといえます。顔内部にアプローチするなら、美容医療を選択肢に入れてみるとよいでしょう。頬のコケ対策に有効な治療法を平松 先生に伺いました。
※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません

平松 先生によると「各治療で頬のコケにアプローチできますが、組み合わせるとより効果が期待できます。治療の選択肢は幅広くあるので、医師と相談してそれぞれの治療の特徴を理解し、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。」とのこと。
※併用治療の有効性・安全性、またどれくらい期間を空けるか等は検証されておりません

今回は上記のなかからヒアルロン酸注入治療と、肌質改善治療(肌育治療)について、詳細をご紹介します。

ヒアルロン酸注入治療

ヒアルロン酸注入治療は、私たちの体内に広く存在する物質であるヒアルロン酸を体組織に注入します。顔のコケや凹凸を少なくしたり、フェイスラインを形成したりするために選択される治療法です。(1)

もともと頬骨が平坦な場合や加齢によって皮下脂肪が垂れ下がってボリュームが減ってしまった場合、頬骨の上にヒアルロン酸を注入することでボリュームを補うことができます。それにより、ふっくらした若々しい頬をキープすることが可能です。(1)

肌質改善治療(肌育治療)

肌の再生に有効な成分を皮膚表層に均一に注入し、肌の内側からツヤと弾力のあるハリをつくりだす治療です。(5),(6) 使用する薬剤によって、さまざまな効果が期待できます。肌のハリや弾力が改善すると、頬がこけた印象は緩和できるでしょう。
※監修医師の臨床経験に基づく

ヒアルロン酸注入治療と肌質改善治療(肌育治療)の併用で肌の全層がふっくらと持ち上がり、より良いたるみ治療が可能です。
※併用治療の有効性・安全性、またどれくらい期間を空けるか等は検証されておりません

参考文献
(1) 古山 登隆:解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法:メディカルレビュー社.2020
(2) 川田 暁:美容皮膚科ガイドブック第2版:中外医学社.2019
(3) 今泉明子:成功する顔しない顔人生を劇的に好転させる究極の美顔術:サンライズパブリッシング.2022
(4) Liew, S., Chan, H.H. et al. :Aesth Plast Surg.2016.40:193–201
(5) 樋口彩子:Bella pelle.2020.5(3):170-173
(6) Park et al.: Dermatol Ther.2016.29(1):37-40

監修・取材協力

La Vie clinic 統括院長 平松 恵梨 先生

La Vie clinic 統括院長 平松 恵梨 先生

金沢医科大学医学部卒業。関西医科大学附属病院、大阪医科薬科大学附属病院、城山病院、洛西シミズ病院にて麻酔科医として従事。その後、関西地方を中心に美容外科、美容皮膚科のクリニックの勤務を経て、La Vie clinic 統括院長に就任。

アンチエイジングやインナーケアにも精通しており、様々な視点からの「美と健康」の提案を心掛け、日々診療を行っている。

厚生労働省認定麻酔科標榜医、日本麻酔科学会認定医、抗加齢医学会専門医

その他、美容外科学会、美容皮膚科学会、日本再生医療学会などの学会に所属。

La Vie clinic(ラヴィクリニック)

住所: 大阪市北区梅田2-5-25ハービスプラザ3F 西梅田クリニックモール内

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