同じ治療を受ける場合でも、美容医療ではクリニックによって価格設定が違います。クリニックを選ぶ際、「なぜ?」と疑問に思う人は多いかもしれません。

そこでこの記事では、美容医療の価格の決まり方と、クリニック選びの際に知っておきたい知識について、恵聖会クリニック 理事長の鬼頭 恵司 先生に教えていただきました。

監修・取材協力:鬼頭 恵司 先生(恵聖会クリニック 理事長)

安い、高いは何で決まる?美容医療の価格について医師が解説!

美容医療クリニックでの費用はどう決まっているのか悩む女性

美容医療は、保険が適用されない「自由診療」。自由に価格設定ができるため、クリニックによって価格が異なります。そのため、価格の違いによってクリニック選びに迷う方も少なくありません。

美容医療の価格を決めるポイントを鬼頭 先生に解説していただきました。

1.使用する薬剤や機器

まず、国内で薬事承認されている薬剤や機器の場合は、品質や安全性が保障されているため、相応の価格になるといえます。

後ほど詳しくご説明します。

ほかにも最新の機器や、希少な成分を使用した薬剤なども高額になりやすい傾向です。

2.医師の技術料やスタッフの人件費

医師の技術料やスタッフの人件費イメージ

施術で使用する機器や薬剤を正しく安全に使うための知識、さらに高度なテクニックや経験を有するために、医師の技術料も価格に反映される要因の一つです。

ほかにも看護師やカウンセラーなどのスタッフもいる場合、手厚いフォローを受けられる反面、人件費がかかっています。

3.広告費

クリニックを宣伝する広告をたくさん出すと、当然広告費がかかり、価格に反映されます。「広告で見かけるクリニックであれば安心」と感じる方もいらっしゃると思いますが、費用とのバランスを考えて検討の材料にするとよいでしょう。

「全て」の治療が安すぎる場合は注意して

クリニックの経営方針や戦略として、一部の治療をあえて安い価格で提供しているケースがあります。
考え方によるものなので、安いことが悪い訳ではないのです。

ただ、「全て」の治療が他院と比べて極端に安い場合は、注意したほうがよいかもしれません。
価格を安く提供するには、必ず理由があります。
例えば、トライアル促進や治療の継続維持、症例の増加などです。

「全て」の治療が極端に安いと、同じ薬剤や機器を使っているはずなのに、どうやってクリニックを運営しているのか疑問を感じます。

しっかり情報を集め、信頼できるクリニックかどうかを調べてから、治療を受けるか判断することをおすすめします。

「切らない」美容医療では特に重要!? 知っておきたい薬剤・機器の国内承認・未承認

薬剤・機器の国内承認・未承認とは

美容医療の価格に関わるポイントのひとつに、使用する薬剤や機器の「薬事承認」の有無があります。薬事承認されているものを「承認品」、承認されていないものを「未承認品」と呼んでいます。

違いについて詳しく解説しましょう。

承認品と未承認品の違い

国内で使用される医薬品や医療機器は、薬事承認されている必要があります。日本の保険診療の場合は、原則「承認品」しか使用が認められていませんが、自由診療では「未承認品」を使うことが可能です。(1)

現在、国内の美容皮膚科学会などでは安全治療に対するガイドラインが作成され、薬剤や機器においては承認品の使用が推奨されています。(2)

承認品は、開発や実証までに多くの手間や時間を費やしています。(3) その分、確かな品質や安全性が保証されているため、高額になりやすい傾向です。

日本の未承認品は、医師の裁量で海外から個人輸入をされています。品質がよいものもありますが、なかには効果や安全性が不確かなものもあるということを知っておきましょう。

使用する薬剤や機器を正しく理解し、治療を受けよう

治療を受ける際には患者さん自身も、使用される薬剤・機器に対して、安全性や効果を含めて、正しく理解と選択をすることが大切です。

気になることや疑問、不安が少しでもあれば、カウンセリングで医師に確認してみてください。「カウンセリングで十分な説明がされなかった」「納得できるまで相談できなかった」という場合には、別のクリニックを検討してみてもよいかもしれません。

参考文献
(1)厚生労働省「医療機器の薬事承認等について」
(2)日本美容外科学会「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」
(3)PMDA「薬剤承認の仕組みについて~安心で効果的な薬剤を届けるために~(2023年1月)」

監修・取材協力

恵聖会クリニック 理事長 鬼頭 恵司 先生

恵聖会クリニック 理事長 鬼頭 恵司 先生

国立岐阜大学医学部卒業(1992年)。大学病院及び関連市民病院にて、ICU・小児科・婦人科・外科一般を研修し、形成外科・美容外科の基本となる麻酔手技や微細外科手術手技などを修得。2000年6月、恵聖会クリニックを創設。2005年に心斎橋院、2022年10月には梅田院を開院。技術の向上・適正な価格・術後の万全なアフターケアをモットーに医院経営に取り組む。

恵聖会クリニック 心斎橋院

住所:大阪市中央区東心斎橋 1-7-30 21 心斎橋ビル 8F

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