唇の老化と聞くと、縦じわが寄ったシワシワの唇を思い浮かべるかもしれません。しかし、縦じわ以外にもさまざまな変化が生じます。今回は、加齢によって生じる唇の変化とその対策を医師に解説いただきました。

監修・取材協力:宮田 洋佑 先生(Cinderella & Da Vinci Clinic 院長)

どう変わる?加齢による唇の変化を医師が解説

唇は目や鼻とともに、顔の印象に大きくかかわるパーツです。年齢を重ねると目元にしわやたるみが生じたり、鼻が大きくなったりするのと同様、唇にも加齢による変化が現れます。

加齢によって唇に現れる具体的な変化を、宮田 先生に詳しく聞きました。

20代と60代の唇を含む口周りのしわの違い

唇が横に広がり薄くなる(ボリュームが減る)

10代から80代までの女性の唇を測定したデータによると、唇は年齢を重ねるごとに縦幅は狭くなる、つまり薄くなり、横幅は広がることが明らかになっています。(1)

唇が薄く広がってしまうのは、骨や筋肉、皮下脂肪など顔の内側の変化が主な原因です。加齢とともに、骨密度が低下して骨が縮み、筋肉や皮下脂肪が減って全体のボリュームが失われていきます。(1)~(3) 
口元も全体的にボリュームがなくなり、唇はまるでぺったんこの座布団のように、薄く広がってしまうのです。

唇が薄くなることで人中が長くなる

唇のボリュームがなくなると、鼻の下の「人中」とよばれる部分も平らになり、のっぺりとした印象を与えてしまいます。すると、人中が長くなったように見え、さらに老けを感じる一因になります。(1),(3)

唇の縦じわが目立つようになる

唇は皮脂を分泌する皮脂腺を持たないため、乾燥が進みやすい部位でもあります。(2)
加齢により、真皮にあるコラーゲンやエラスチンといった保水成分が減少したり、長年、紫外線に当たって光老化が進んだりすると、さらに乾燥し、縦じわが目立つようになっていきます。(2)

口まわりに放射線状のしわができる

唇のまわりは口輪筋(こうりんきん)という筋肉で囲まれています。(3)
この筋肉が衰えて萎縮するほか、肌のハリが失われるなどした影響で、口まわりに放射線状のしわが寄ることがあります。

口角が下がる

唇周辺の骨や表情筋などの萎縮によって、唇を支える組織が弱くなります。(3)
さらに、重力など下に引っ張られる力の影響で口角が下がってしまいます。下がった口角は、不機嫌で老けた印象を与えがちです。

リップラインの境目があいまいになる

年齢とともに唇の境目も不明瞭になることがわかっています。(1)

20代などの若い年代の人の上唇は膨らみがあり、中心の山の部分も境目がはっきりしています。しかし、年齢を重ねると徐々に脂肪が減って唇全体のボリュームが失われ、薄くなります。(1) 
それとともに唇の境目もあいまいになることが考えられます。

「切らない」美容医療で、年齢を感じさせないうるツヤの唇に

年齢を感じさせないうるツヤの唇イメージ

唇の老化を進めないためには、日々のセルフケアやメイクによる工夫などがもちろん重要です。そこに美容医療を取り入れると、セルフケアでは難しい、加齢によって薄くなった唇や間延びして見える人中にアプローチができます。

メスを用いない「切らない」美容医療をスペシャルケアとして取り入れてみてはいかがでしょう。どんな選択肢があるのか、宮田 先生に教えていただきました。

※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射のイメージ

私たちの体内に存在する「ヒアルロン酸」を体組織に注入する施術です。(3)

美容医療では主にしわたるみ、加齢による顔のボリューム減少の改善、フェイスラインやあごの形成などを目的に使われています。硬さや材質の違う種類のヒアルロン酸製材がさまざまあり、唇にも使用が可能です。唇にヒアルロン酸を注入すると、縦じわの改善や唇のボリュームアップとそれに伴う人中の短縮効果などが期待できます。(2),(3)

アートメイク

アートメイクとは、専用の針を用いて皮膚の内部に色素を注入する医療行為です。タトゥーとほぼ同じ仕組みです。(4)

眉やアイラインにアートメイクをして「落ちないメイク」をすることがありますが、唇にも赤い色素を注入し、アートメイクを施すことができます。唇のアートメイクには、元々の唇の色を明るくして顔色を明るく見せる効果が期待できます。

また、加齢によってあいまいになった唇の境目をはっきりさせる効果もあり、若々しさが増すことも。

まずは美容クリニックを受診し、気になる口元や唇のお悩み、なりたいイメージを医師に伝え、相談してみましょう。クリニックを検討する際は、ホームページやSNSなどで紹介されている症例写真、唇など治療したいパーツやお悩みの症例が多いかチェックすることをおすすめします。

参考文献
(1) 安森 春子, 山本 隆斉 他:日本化粧品技術者会誌.2019:53(4):287-296
(2) 安田 利顕,漆畑 修:美容のヒフ科学 改訂 10 版:南山堂.2021
(3) 古山 登隆:解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法:メディカルレビュー社.2020
(4) 川田 暁:美容皮膚科ガイドブック第 3 版.中学医学社 2023

監修・取材協力

Cinderella & Da Vinci Clinic 院長 宮田 洋佑 先生

Cinderella & Da Vinci Clinic 院長 宮田 洋佑 先生

北里大学卒業(2010年)。初期研修を経て心臓血管外科へ進む。2016年、美容外科へ進み、共立美容外科をはじめとして複数の大手美容外科に勤務。院長、技術指導医を歴任。2021年、名古屋駅前にシンデレラ&ダヴィンチクリニックを開院。院長に就任。常に患者様の声に耳を傾け、最善の手術を提案、技術を提供するために日々努力を怠らず、術後も責任を持ってアフターフォローすることを掲げ、診療に取り組んでいる。

Cinderella & Da Vinci Clinic

住所:愛知県名古屋市中村区名駅 2-44-2 オーキッドGビル 6階

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