目の下のクマは、疲れた印象を与えたり、老けて見えたりしてしまう原因になります。
クマを改善しようとマッサージやアイクリームなどをいろいろ試してみたけれど、なかなか効果が出ないと悩んでいる人も多いでしょう。
そこで今回は、クマができる原因と改善方法について、医師に詳しく教えていただきました。
監修・取材協力:加藤 聖子 先生(麻布ビューティクリニック 院長)
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目の下のクマは、疲れた印象を与えたり、老けて見えたりしてしまう原因になります。
クマを改善しようとマッサージやアイクリームなどをいろいろ試してみたけれど、なかなか効果が出ないと悩んでいる人も多いでしょう。
そこで今回は、クマができる原因と改善方法について、医師に詳しく教えていただきました。
監修・取材協力:加藤 聖子 先生(麻布ビューティクリニック 院長)
目次
目の下のクマは、茶クマ、青クマ、黒クマの3種類に大きく分かれるといわれていて、それぞれ原因が異なります。まずはそれぞれのクマの特徴と原因を知り、自分のクマがどのパターンに当てはまるのかを把握していきましょう。
目の下のクマの中でも、主にメラニン沈着によって引き起こされる茶色っぽいクマのことを一般的に「茶クマ」と呼びます。
茶クマの原因としては、花粉症やアトピーなどの影響で目をこすったり、メイク・日焼けによって色素沈着が生ずることが考えられています。
そのほか、まつ毛の育毛剤に使われるプロスタグランジン関連薬は薬剤が下まぶたに付着することで色素沈着が生じ、茶クマができることもあります。
目の下のクマの中でも、血行不良によって引き起こされる青っぽいクマのことを一般的に「青クマ」と呼びます。
主な原因は、睡眠不足、栄養バランスの崩れなどによる血流の滞りです。下まぶたの皮膚の薄い部分には脂肪がないので、すぐ下にある眼輪筋という筋肉の色が透けて見えてしまいます。眼輪筋の血流が悪く、静脈血がうっ血している状態だと、暗い色が見えてしまい、これが青クマの原因となります。
青クマは、目の下の皮膚が薄い人にできやすい傾向があります。
目の下のクマの中でも「黒クマ」は、影クマ、たるみクマと呼ばれることもあるクマです。黒クマができる主な原因は、骨格の影響と加齢です。
アジア人は構造上、頬よりも目の眼球の位置のほうが前にある人が非常に多いです。こうした骨格では、目袋(アイバッグ)が飛び出してしまうことが多々あります。
若いうちからある黒クマはほとんどが、この生まれつきの骨格の問題によるものです。
また、加齢とともに顔の骨が縮んだり、頬の脂肪が下垂したりして頬のボリュームがなくなると、黒クマが悪化して目立ちやすくなることもあります。そのため、「黒クマは加齢の影響で生じる」と考えられがちです。
しかし、黒クマの原因は加齢だけでなく骨格の影響が大きく、若い人でも生じます。また、「目が大きい」人に多く見られるとされています。
インターネットなどでは「自分の目の下のクマがどれに当てはまるのか、チェックしてみよう!」と、以下のような「クマを見分けるポイント」が紹介されていることもあります。
<目の下のクマを判断する誤った方法>
・目の下の皮膚を引っ張っても色が変わらない場合は「茶クマ」
・目の下の皮膚を引っ張ると色が薄くなる場合は「青クマ」
・目の下の皮膚を引っ張りながら目線を上に向けるとクマが薄くなった場合は「黒クマ」
しかし、クマが発生している原因は1つだけでなく、茶クマや青クマが混在しているなどのケースが考えられるため、セルフチェックだけで見分けることは困難です。
また、黒クマはむしろ、目の下の皮膚を引っ張ると悪化するケースのほうが多いとされています。皮膚の色は悪くないのに、線を書いたような黒い影ができている場合、基本的には黒クマといえるでしょう。
自分のクマが医療機関でなければ改善できないものかどうかを把握するためにも、医師の診察を受けることをおすすめします。
目の下のクマを治す方法は、ネットをはじめ、さまざまなメディアで取り上げられています。
例えば、目元のマッサージや、目の周りの筋肉のトレーニングなどは、一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際に目の下のクマを改善するのに有効なのか加藤先生に伺いました。
目の下のクマを改善する方法として、ホットアイマスクは青クマには有効な対策といえます。
目の周辺を温めることによって血流の改善を促す効果があるため、血行不良が原因となる青クマに効果があるといえるでしょう。
目の下のクマを改善する方法として、目元のマッサージをするのは、クマの種類に関わらずNGです。
皮膚はとても繊細な、柔らかく薄い紙のようなイメージの組織なので、摩擦でこすれるなどすると、すぐにしわになってしまいます。
そのため、目元のマッサージをすると、しわや、茶クマの原因となる色素沈着が生じてしまう可能性が高いでしょう。
目の下のクマを改善する方法として、眼輪筋という目の周りを鍛える筋力トレーニングで、黒クマの原因といわれる目袋を目立たなくすると方法が紹介されることがありますが、残念ながらこの方法は、クマの改善に有効とはいえません。
人によってはトレーニングで一時的に目袋が目立たなくなり、黒クマが改善されたように感じられることがありますが、その効果はあくまで一時的なものです。
もしもトレーニングの結果、クマが改善されたとしても、このようなトレーニングを続けていると、目の周辺にしわが増えてしまうでしょう。
皮膚は薄くて柔らかい紙のような組織なので、トレーニングをするために目をつぶったり開けたりを繰り返すと、どんどんしわをつくってしまいます。
一時的なクマ改善のために、しわを増やしてしまうといった事態にならないためにも、眼輪筋などの目の周りの筋力トレーニングは基本的に避けたほうがよいでしょう。
目の下のクマを改善する方法として、アイクリームや目元美容液などの目元用の化粧品は、茶クマに効果がある可能性があります。
茶クマは色素沈着によって生じているため、色素沈着を防ぐ「ハイドロキノン」という成分が配合されたアイテムを使えば、薄くできる可能性があります。茶クマが気になっている場合、美容クリニックで処方されるものや市販のハイドロキノン配合アイテムを使って、改善を試みてもよいでしょう。
しかし、目元用のアイクリームの中には、ハイドロキノンがほとんど配合されておらず、色素沈着の改善よりも保湿をメインにつくられているものもあります。保湿によるしわ改善には役立つかもしれませんが、残念ながらクマの改善にはつながりにくいため、成分を確認するようにしましょう。
目の下のクマを改善する方法として、特定の栄養素をとることを推奨するケースがありますが、情報としては誤りといえるでしょう。
インターネットなどでは、「血流を促したりメラニン色素を抑制したりするはたらきがあるビタミンCをとるとクマの改善になる」といった情報や、「ビタミンCとビタミンEを同時に摂取すると、メラニンを抑制できる」などといわれることがありますが、残念ながらこれらもクマの改善に有効とはいえません。
たしかに栄養バランスを意識するのは、あくまでも肌の健康を守るために必要なことですので、間接的にクマの改善につながるといえなくもないですが、特定の栄養素を摂取したからといって目の下のクマが改善するというのは根拠がない情報かもしれません。
漢方薬の中には、血流の滞りを改善する応答を引き出すものもあり、自分の体質に合った漢方薬を使うと、青クマが改善できることもあります。
興味のある方は、漢方薬に詳しい医師に処方してもらうとよいでしょう。
クマの中でも特に黒クマは、骨格や、頬のたるみなどの加齢が原因のため、セルフケアでの改善が難しい可能性があります。ですが、 美容医療の力を借りれば、悩んでいたクマが改善できるかもしれません。
目の下のクマを改善する方法として、美容皮膚科では以下のような施術があります。
※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません
・ヒアルロン酸注入治療
・ベビーコラーゲン注入治療
・レーザー治療
・エレクトロポレーション治療
・高周波による照射治療
・超音波による照射治療(HIFU)
・外科手術による治療(ハムラ法、脂肪注入など)
このうち、茶クマ・青クマ・黒クマの改善として、選択されやすい施術について、詳しく見ていきましょう。
メラニン色素の沈着によって起こる茶クマを美容医療で改善するには、これ以上メラノサイトが活性化して色素沈着が進まないように、メラノサイトの活性を抑える「トラネキサム酸」を内服するとともに、「ベビーコラーゲン」と呼ばれる、赤ちゃんの肌に多いとされる乳白色のⅢ型コラーゲンを患部に注入します。
ベビーコラーゲンは一度注入すると3~4カ月間、効果が持続します。処置後には軽度のむくみや痛み、内出血などが生じる可能性がありますが、その割合は高くはありません。
青クマの改善にも、乳白色のベビーコラーゲンを注入する方法が有効ですが、場合によってはベビーコラーゲンを注入することで、かえってクマが目立ってしまうケースもあります。
そこで、血流をよくする効果のあるレーザーを使って改善を試みることもあります。
黒クマの改善にもコラーゲンやヒアルロン酸注入治療を選択することが多くあります。クマの原因となっている目袋を手術で取り除き(経結膜脱脂)、脂肪注入でボリュームロスした部分を整える場合もあります。
ただし、目の下には真皮と骨、あるいは真皮と筋膜などをつなぐ支持靱帯(リガメント)と呼ばれる組織がある関係で腫れやすく、ダウンタイムが長くなる傾向にあります。
そのため、日本ではクマの治療には、注入治療が人気です。
最後に、目の下のクマの治療に関するよくある疑問を加藤先生に伺ってみました。
片方だけクマがある場合でももちろん治療は可能です。むしろ、人の顔や体は左右対称になっていないことが多く、顔の左右のどちらにも、対称にクマができているケースのほうが少ないといえます。
左右の顔のバランスを見ながら、患者さんの希望にできるだけ添った施術をするため、まずはカウンセリングを受けるところから始めてもよいでしょう。
目の下のクマの原因は、いくつかの原因が重なり、複合的にクマが形成されているパターンも多く、茶クマや青クマなどはっきりと区別できるわけではありません。
医療機関の場合は、複数の原因によるクマが混在していても、それらを同時並行で治療できるので、目の下のクマ改善が期待できます。
男性の場合、黒クマを訴える方が多いのが特徴です。茶クマや青クマが生じないわけではありませんが、女性に比べて男性のほうが、皮膚が厚いことが多いので、悩みとして挙げられる方は少ないでしょう。
目の下のクマ治療のためにクリニックを選ぶ時には、まずカウンセリングに行き、カウンセリングで実際に医師と話してみて、相性のよさそうな医師を探すことが大切です。
また、話を聞いてみて納得できるかどうかも重要です。医師の説明を聞いても納得できなければ、そのクリニックで施術を受けるのはやめたほうがよいでしょう。
そのほか、SNSに上がっている症例写真をそのまま信じないことも重要なポイントといえます。SNSは写真加工ができるので、多少残っていた施術の粗をごまかしている懸念もあります。症例写真をチェックする場合は、ぜひクリニックのホームページやカウンセリング時に確認してみてください。
目の下のクマを改善するには、クマの原因に応じたアプローチを正しく行う必要があります。
クマの種類によっては、セルフケアよりも美容医療の手を借りるほうが有効なこともあるでしょう。メスを使わない注入治療によって、目の下のクマを改善できる方法もたくさんあります。ダウンタイムも短く済むので、多忙でなかなか休みが取れない人にもおすすめの方法です。
自分のクマの種類に合った改善策を見つけるためにも、医師に相談することは有効です。美容医療を上手に利用して、悩みを改善していきましょう。
東京大学医学部卒業。東京大学付属病院整形外科学教室入局。都内総合病院にて整形外科を中心として麻酔科、救命救急医療などを習得し、都内美容外科にてフェイスリフトや脂肪吸引、目・鼻形成術などの手術を執刀。2008年、麻布ビューティクリニック設立。日本抗加齢美容医療学会会員。アラガン認定指導医発足時より、毎年選出されている。アラガンメンターシップに日本で唯一(アジアで8名)選出され、最先端の美容医療の普及活動にも注力。2021年、アラガン社より発足されたLeaders of the Future選任。 注入治療を牽引する世界の指導者44名の一人に日本で唯一選出された。『品良い仕上がり』を目指し、「若々しく、美しくいていただきたい」という想いで治療を行う。
麻布ビューティクリニック
住所:〒106-0045 東京都港区麻布十番2-14-11 ルート麻布ビル5・6階