年齢が上がるにつれ避けられないのが「老化」。老化を自覚すると、「対策したい!」と考える方も多いでしょう。

そこで、この記事では顔の老化のメカニズムについて、ツツイ美容外科 院長の筒井 康文 先生に解説していただきました。老けて見える原因を正しく知ることで、ご自身に合った対策を考えてみませんか?

監修・取材協力:筒井 康文 先生(ツツイ美容外科 院長)

顔の奥の骨・筋肉・皮下脂肪などの変化が老化の原因

以前撮った写真を見て、現在の顔との違いに驚いた経験がある方もいるのではないでしょうか?

顔は一気に変わるのではなく、少しずつ変化していくので、毎日鏡で見ているだけでは変化に気付きにくいことが多いものです。

鏡を見て肌の変化が気になっている女性

年齢を重ねることで目立ち始める顔のたるみしわほうれい線などは、一見するとすべて「肌」の変化によるものだと考えがちです。しかし、これらは肌だけが変化して起こっているわけではありません。加齢によって、顔の奥で起こる変化について、筒井先生に詳しく伺いました。

変化1.骨密度が減少し、骨が小さくなる

骨密度の減少により、筋肉や皮下脂肪、皮膚が垂れ下がり、顔全体がたるんで見える

年齢を重ねると、骨密度が減少し、骨が小さくなります。(1)骨は、体の「土台」の役割を果たしている部分。土台が縮むと、上にある筋肉や皮下脂肪、皮膚が垂れ下がり、その結果顔全体がたるんで見えてしまいます。(1)

具体的には、こめかみや眼窩(がんか:眼球が入っているくぼみ)は広がり、頬・あごのまわりの骨はへこみ、痩せこけるなどの変化が起こります。(1)

変化2.表情筋が衰える

加齢によって顔の筋肉、表情をつくるときに使われる「表情筋」も衰えます。(1)

表情筋が衰えると、その上にある皮下脂肪や皮膚(真皮・表皮)を支えられず、しわやたるみにつながります。(1)

変化3.皮下脂肪の量が変化し、移動する

皮下脂肪の量が変化し、おでこや頬、顔のラインがたるんで見えやすい

加齢にともなって顔の脂肪は減少し、従来の位置から下に移動(下垂)します。(1)

特に、頬や口横の皮下脂肪は下垂が起きやすい部分です。(1)おでこや頬に丸みが損なわれ、顔のラインが平坦になり、老けて見えやすくなります。(1)

変化4.支持靭帯(リガメント)とSMAS(スマス)が衰える

支持靭帯(リガメント)とSMAS(スマス)が衰えることでたるみにつながる

顔の皮膚や表情筋と骨をつなぎ、支える「支持靭帯(リガメント)」と皮下脂肪と筋肉の間に存在する筋膜「SMAS(スマス)」という組織は、顔を支える重要な役割を担っています。(1),(2)これらが加齢によって衰えると、皮下脂肪がずり落ち、支持靭帯の上に乗りかかり、下垂してほうれい線や頬などのたるみにつながってしまうのです。(1),(2)

変化5.肌のハリや弾力性の低下

若い時の皮膚と加齢が進んだ時の皮膚の違い

加齢や紫外線ダメージの長年の蓄積などで、真皮に変化が起こると、肌自体のハリや弾力が低下します。(1),(3)その結果、しわが刻まれやすくなります。(1),(3)

顔の奥の変化にアプローチしたいなら、美容医療を味方にするのが手!

顔の老化に美容医療を取り入れる

顔の老化は、肌表面だけでなく骨や皮下脂肪などの変化によって起こるため、セルフケアで解決するのは難しいものです。顔の奥にしっかりアプローチしたいのであれば、美容医療を取り入れてみてはいかがでしょうか?

代表的な治療として以下が挙げられます。(1),(4)~(9)
※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません。

なかでも手術に比べて体への負担が少なく、回復期間(ダウンタイム)が短い注入治療の「ヒアルロン酸注射」と「ボツリヌス注射」について、詳しくご紹介します。

ヒアルロン酸注射

私たちの体内に広く存在する物質であるヒアルロン酸を体組織に注入する施術です。一般医療では関節や目の治療でも選択されています。(1)

さまざまな肌悩みにアプローチしやすく、使用する部位や目的に合わせて、硬さや材質の違うさまざまな種類の製材を使い分けています。

・ヒアルロン酸注射でアプローチできるお悩み(1),(4),(5)

ヒアルロン酸注射でアプローチできる部位はゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットライン、フェイスライン、あご、目の下の小じわやたるみの陰影によるクマ、ボリューム不足による頬のコケ、肌の乾燥、唇のボリューム不足

ボツリヌス注射

筋肉の緊張をほぐす作用があるボツリヌストキシンを注入する施術です。筋肉がリラックスした状態になることで、眉間や目尻、口元などの表情じわにアプローチすることができます。(8),(9)

ボツリヌストキシンは、一般医療でも重度の腋窩多汗症(わきの多汗症)や眼瞼けいれん、斜視などの治療に使用されています。(9)

参考文献
(1)古山 登隆:解剖から学ぶヒアルロン酸注入療法:メディカルレビュー社.2020.
(2)白壁 征夫:BellaPelle.2017;2(4);14-17.
(3)今山修平:BellaPelle.2017;2(2);16-19.
(4)KM Kapoor,et al.:Clin Cosmet Investig Dermatol.2021;14:1105-1118.
(5)一瀬 晃洋:美容皮膚医学 BEAUTY.2020.3(1):22-27
(6)鈴木 芳郎:BellaPelle.2017;2(4);24-29.
(7)黄 聖琥:BellaPelle.2017;2(4);18-23.
(8)古山登隆,井上 香:美容皮膚医学 BEAUTY.2020;3(6);45-54.
(9)古山 登隆,海野由利子,砂川恵子,青木和香恵:目もとの上手なエイジング―眼瞼下垂から非手術的美容医療,エイジング世代のメイクアップまで―.全日本病院出版会,2021.

監修・取材協力

ツツイ美容外科 院長 筒井 康文 先生

ツツイ美容外科 院長 筒井 康文 先生

国立佐賀大学(旧佐賀医科大学)医学部卒業(1985年)。名古屋掖済会病院の救命救急の現場で研修後、大手美容外科にて美容外科治療を修得。1988年8月、大阪心斎橋にツツイ美容外科を開院。大阪ミナミにある美容外科では一番の老舗。2011年5月、大丸心斎橋店そばに移転し、現在に至る。患者さまの心に寄り添い、医療としての美容外科・美容皮膚科を目指します。

日本美容外科学会会員/アンチエイジング研究会会員/日本美容皮膚科学会会員/日本美容外科医師会会員/日本先進医療医師会会員/日本医学脱毛学会会員/日本レーザー医学会会員/サーマクール認定医/日本美容外科学会(JSAS)専門医

ツツイ美容外科

住所:大阪市中央区心斎橋筋1-4-29 フェリチタ心斎橋502

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