近年ますます身近な存在となってきた美容医療。一方で、治療で使用する薬剤や機器について、患者さんの理解度はまだ低く、安易に値段だけで選びトラブルになったという方もいるようです。今回は、薬剤や機器といった製品にスポットを当て、正しい理解と選択する際のヒントを解説します。
監修・取材協力:西田 美穂 先生(Beauty Tuning Clinic 院長)
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近年ますます身近な存在となってきた美容医療。一方で、治療で使用する薬剤や機器について、患者さんの理解度はまだ低く、安易に値段だけで選びトラブルになったという方もいるようです。今回は、薬剤や機器といった製品にスポットを当て、正しい理解と選択する際のヒントを解説します。
監修・取材協力:西田 美穂 先生(Beauty Tuning Clinic 院長)
かつてはこっそりするのが主流だった「美容医療」ですが、最近では、セルフケアの延長としてより身近なものとして浸透しています。20~40代の女性に調査※をしたところ、美容医療に「とても興味がある」と答えた方は26%、「興味がある」と答えた方は33%と、合計約60%の方が興味を持っているようです。また、4人に1人は実際に検討やカウンセリングを受けているなど、より前向きに行動している人の多さも見えてきました。
美容医療は、専門的な知識のある医師のもと治療を行うため、漠然と続けている毎日のスキンケアと比べて効果は比較的早く感じられます。ただし、事前に医師としっかりコミュニケーションを取り、治療内容や使用する薬剤などのメリット・デメリットをしっかり把握することがとても大切です。
過去に美容医療を治療・検討された方に、治療内容や薬剤などの効果とリスクの理解度※について聞いたところ、「まあまあ理解している」が53%、「あまり理解していない、全く理解していない」と回答した人が約30%でした。「とても理解している」と答えた方はたったの17%。意外にも、治療や薬剤のリスクまで十分に理解し治療を受ける方は、まだまだ低い状況です。
実際のところ、病院やクリニックにより、薬剤や医療機器を選ぶ基準はさまざまです。だからこそ、患者さんご自身が治療に対する優先順位を整理することが重要なのです。費用や安全性、医師の評判など、どれを大切にしたいかによって選ぶクリニックも変わってきますよね。
「治療費用は安いほうがいい」という理由でクリニックや薬剤を決める方もいらっしゃいます。しかし、大切な身体への治療を値段だけで決めていいのかは、じっくり考える必要があるでしょう。
医薬品や医療機器は、国などの審査を受けて承認される必要があるということをご存知でしょうか?日本では、厚生労働省が承認している薬を「承認薬」、承認を受けていないものを「未承認薬」と呼んでいます。原則として保険診療の場合は、「承認薬」しか使用が認められていませんが、美容医療クリニックや歯科クリニックなどの自由診療が適用になる場合はそうではありません。
この10年で承認・未承認薬の区別や認知は高まり、患者さんの間でも知っている方が増えてきました。とはいえ、アンケート※で聞いてみると、承認・未承認薬について「あまり理解していない、知らなかった」と回答した人は約44%。まだまだ認知度は低い状況です。
海外に目を向けてみると、中国・アメリカなどは、国が認めた承認薬しか使えないケースも多いのですが、日本の自由診療では、「未承認薬」を使うことが可能です。日本の未承認薬は、医師の裁量で海外から個人輸入をして入手しています。製品の品質が良いものもありますが、中には、効果や安全性が不確かなものもあります。
現在、国内の美容皮膚科学会などでは安全治療に対するガイドラインが作成され、薬剤や医療機器においては国内承認品の使用が推奨されています。
国内の美容医療において、承認薬の割合は多くありません。その理由は、効果や安全性を確認するための審査は厳しく、多大な費用や審査期間が必要だからです。具体的には、薬機法に基づき有効性の確認をはじめ、製造工程や保管~配送時における品質管理まで、細かくチェック項目が定められています。
<国内承認薬におけるチェック項目 ※一部抜粋>
・有効性や安全性等の審査
・保管や出荷・配送時における品質・温度管理の設定
・製造や品質管理業務に関する定期的な教育訓練や点検
・製造場所の清掃や衛生管理
・以上の点をふまえた、最終納品前の出荷判定
など
承認薬の中には、価格が高いものもありますが、その背景には、このような品質管理の体制や安全性の担保があることを覚えておきましょう。
これらをふまえて、治療を受ける際には、患者さん自身も使用する薬剤・機器に対して、安全性や効果を含めて、正しく理解と選択をすることが大切なのです。
患者さんの中には、いざ診察やカウンセリングを受けるとなると、医師へいろいろ質問をすることに、ハードルが高いと感じてしまう方もいらっしゃいます。しかし、治療に関する不安や疑問を医師にぶつけるのはとても自然なことです。
治療内容のみならず、使用する薬剤や医療機器の安全性まで、気になる疑問は解決し、納得のいく選択をしましょう。
現在治療を検討されている方は、医師からの説明を受けた後、以下の項目を確認してみましょう。もしその中で迷いが生じたなら、一度持ち帰って自分の気持ちを改めて整理することをおすすめします。
1、自身の優先順位(費用、安全性、日程、効果)
※結婚式までに仕上げたいなど
※どういった変化や効果を求めるか
2、医師の説明を理解して納得できたか
3、効果だけでなくリスクについても説明を受けたか
4、その治療を受けたらHappyになれそうか
迷ったら、止める、相談する、別の日に出直す、改めて自分でも調べてみるなど、これらを心がけてみてくださいね。
美容医療を受ける方は誰もが、「より美しく、好きな自分になりたい」と感じるもの。だからこそ「安全性」にこだわることはとても大切です。「どの先生だったら、安心して相談や治療をお願いできるのか」これからは患者さん自身で見極める力も必要となってきます。
ご自身が理解・納得いくまで質問できるか、しっかり説明をしてくれるか、といった視点で医師やクリニックを選ぶことも、とても重要です。
ぜひ信頼できる医師に出会って、納得のいく治療を受けてくださいね。
※「肌悩みと美容医療に関するアンケート」調査概要
マイナビウーマン調べ
・調査対象:18歳~49歳の女性 有効回答数614名
・調査期間:2022年4月18日~4月19日
・調査方法:WEBアンケート
宮崎医科大学を卒業後、昭和大学形成外科(東京都品川区)にて関連施設研修。
その後、川崎病院(福岡県八女市)にて形成外科部長として従事し、見寺絢子クリニック、福岡大学博多駅クリニック美容・形成外科主任を経て、2018年11月にBeauty Tuning Clinic ~美容調律診療所~を設立。
日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本美容外科学会正会員、日本美容皮膚学会正会員。
Beauty Tuning Clinic ~美容調律診療所~
住所:〒810-0001福岡市中央区天神5-7-7 メディカルシティ天神5F