「美容医療」という言葉を耳にすることが多くなった昨今。

なんとなくは知っているけれど、具体的にどのような治療を行うかなど、詳しいことまでは理解できていないという方も多いのではないでしょうか?

この記事では美容医療の基本と主な治療の内容についてわかりやすく解説します。

監修・取材協力:藤井 靖成 先生(藤井クリニック 院長)

美容医療とは?知っておいて欲しい基本

美容医療とは、「自分らしい美しさを求めて見た目の改善を図るための医療」です。病気を治したり、健康管理をしたりするための医療とは違い、自らの意思で望んで受ける医療のことを指します。

元気に生きるための治療を「医療」とするならば、老化する皮膚に対する「スキンケア医療」は、生活の質を向上させ、楽しく生きるために必要な医療といえるでしょう。

意外と知らない美容皮膚科・美容外科の違い

「美容医療」のうち、「美容皮膚科」と「美容外科」の違いがよくわからず、相談する先を悩む方も多いかもしれません。自分の望む治療を受けられるよう、「美容皮膚科」と「美容外科」の違いを知っておきましょう。

大きな違いは治療の選択肢。美容外科ではメスを使った外科手術を行うのに対し、美容皮膚科では手術を行わず、薬剤や機器などを使った治療を行います。(1)~(3)

 

美容外科と整形外科・形成外科の違いは?

「美容外科」と混同しやすい言葉に「形成外科」「整形外科」がありますが、「美容外科」は「形成外科」の一分野です。これらの違いも抑えておきましょう。

  • 整形外科:骨、関節、筋肉、神経など運動をつかさどる運動器を治療する分野。(3)
  • 形成外科:体の表面にある色や形の異常を、手術などで治療する分野。(3)

このうち、容姿を整えることを目的としている医療が「美容外科」に該当する。(3)

美容医療の「切らない」治療の選択肢

「切らない」美容医療といってもさまざまな治療法があります。具体例は以下の通りです。
※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません

なかでも、手術に比べて施術にかかる時間が短く、体への負担が少ない注入治療の「ヒアルロン酸注射」と「ボツリヌス注射」について、藤井 先生に解説いただきました。

ヒアルロン酸注射

私たちの体内に広く存在する物質であるヒアルロン酸を体組織に注入する施術です。硬さや材質の違うさまざまな種類のヒアルロン酸製材があり、使用する部位やお悩みに合わせて、適した製材を使い分けています。(4)~(6)

ヒアルロン酸注射でアプローチできる部位はゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットライン、フェイスライン、あご、目の下の小じわやたるみの陰影によるクマ、ボリューム不足による頬のコケ、肌の乾燥、唇のボリューム不足

ボツリヌス注射

筋肉の緊張をほぐす作用があるボツリヌストキシンを注入する施術です。筋肉がリラックスした状態になることで、眉間目尻、口元などの表情じわにアプローチすることができます。(7),(8)

ボツリヌストキシンは、一般医療でも重度の腋窩多汗症(わきの多汗症)や眼瞼けいれん、斜視などの治療に使用されています。(7),(8)

美容のかかりつけ医を持とう

理想の容姿をクリニックの先生に相談している女性

最後に一般医療と同じように、美容医療でも“かかりつけ医”を持つ大切さについて、藤井 先生にお話いただきました。

「整えたいパーツや肌悩みごとに別の美容クリニックで治療を受けると、治療方針の違いが影響して、自分の理想から遠のいてしまうこともあります。

そのため、信頼できる医師を決め、自分の希望と治療の方針をよく話し合ってから、治療を始めましょう。

良い医師やクリニックを選ぶために、まずは『治療の選択肢を多く提示してくれるか』を確認することをおすすめします。同じお悩みをもつ人でも、体質や状態によって、どの治療法が適切かは異なります。そのため、患者さんが希望する治療をそのまま行う医師ではなく、さまざまな選択肢を提示し、相談しながら決められる医師の方が満足度の高い治療が受けられるでしょう。

私自身も、患者さんの選択肢を広げ、先々のことまで見据えた治療計画を提示することを大切にしています。

ぜひ後悔のないよう、慎重に医師やクリニックを選んでください。」

参考文献
(1)公益財団法人 日本整形外科学会「整形外科と美容外科」
(2)日本美容外科学会「美容外科ってどんなもの?」
(3)一般社団法人 日本形成外科学会「他科との関係」
(4)古山 登隆:解剖から学ぶ ヒアルロン酸注入療法. メディカルレビュー社. 2020.
(5)KM Kapoor,et al.:Clin Cosmet Investig Dermatol.2021;14:1105-1118.
(6)一瀬 晃洋:美容皮膚医学 BEAUTY.2020.3(1):22-27
(7)古山 登隆,海野由利子,砂川恵子,青木和香恵:目もとの上手なエイジング―眼瞼下垂から非手術的美容医療,エイジング世代のメイクアップまで―.全日本病院出版会,2021.
(8)古山登隆,井上 香:美容皮膚医学 BEAUTY.2020;3(6);45-54.

監修・取材協力

藤井クリニック 院長 藤井 靖成 先生

藤井クリニック 院長 藤井 靖成 先生

医師になって32年、内科専門医・消化器内視鏡専門医・指導医を経て、22年間美容医療に従事。

胃がん、大腸がんに対する技術的に細やかな内視鏡検査・手術を通して磨いた技術と豊富な経験を活かしながら、美容外科の技術も習得。「楽しく生きる」をコンセプトに、自身が理想とする医療を追い求めるため、2007年5月「藤井クリニック」を開院。

その後、皮膚科学をベースとする美容医療に取り組み40万件以上の美容施術経験を積む。

藤井クリニック

住所:〒530-0001 大阪市北区梅田2-1-22 野村不動産西梅田ビル8F

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