スキンケアは、美容習慣の基礎です。そして、十分なビタミンとミネラルを確実に摂ることは、美しく健康的な肌を保つために欠かせません。しかし、サプリメントなどによるビタミンやミネラルの摂りすぎには、リスクもあります。

では、肌への効果が期待される重要な栄養素とはどのようなもので、具体的にどのような働きをするのでしょうか。

食べ物に含まれるビタミン・ミネラルの種類と効果について、くわしく紹介します。

食べ物に含まれるビタミン (1) ビタミンA

ビタミンAは、レチノイド類とカロテノイド類の2種類に分類されます。

レチノイン酸をはじめとするレチノイド類は、スキンケア化粧品によく使用されている成分です。レチノイン酸配合のコスメには、シワを目立たなくしたり、肌のゴワつきをやわらげたりする作用が期待できます。

レチノイン酸の働きはそれだけではありません。肌の保湿力を高め、コラーゲンの合成を促進する効果もあると考えられています。実際、レチノイン酸は、エイジングや日光によるダメージの対策成分として広く研究されています。

一方のカルテノイド類は、紫外線によるダメージを防ぐ効果が期待できる抗酸化物質として知られています。

レチノイド類は肉や乳製品に、そしてカルテノイド類は色鮮やかな果物や野菜に豊富に含まれているため、両者をバランスよく食べるようにしましょう。

食べ物に含まれるビタミン (2) ビタミンC

ビタミンCは、スキンケアの専門家が強く摂取を推奨するビタミンの一つです。肌に塗っても口から飲んでも効き目の高い抗酸化物質で、肌の老化の一因となるフリーラジカルを中和するのに役立つといわれています。

しかし、肌の健康という観点から見ると、ビタミンCのメリットは抗酸化作用だけにとどまりません。ビタミンCには、日光のダメージを受けた肌の見た目を改善し、肌のなめらかさを向上させ、小ジワを目立たなくする効果があります。また、ふっくらとしたハリのある肌に欠かせないコラーゲンの生成も促進するほか、抗炎症作用も備えているため、肌にできた傷の治りを早くする効果も期待できます。

また、ビタミンCは、シミなどの過剰な色素沈着を目立たなくする働きがあると考えられている成分です。そのため、美白美容液の成分としてもよく使用されています。

ビタミンCを摂取したい場合は、柑橘類やベリー類、トマトなどを食べましょう。おやつ代わりに食べれば間食を減らせるため、健康な体づくりにも役立ちます。

食べ物に含まれるビタミン (3) ビタミンD

ビタミンDは、骨の形成に不可欠なビタミンです。免疫系の機能を正常に保ち、傷の治癒にも関与します。食べ物から摂るだけでなく、サプリメントからでも補給可能です。

ビタミンDは、太陽光に含まれる紫外線に反応して皮膚内部で作られるため、「太陽のビタミン」とも呼ばれています。もっとも、ビタミンDのためにわざわざ日光浴をする必要はありません。ほとんどの人は、夏季に屋外で5~10分過ごすなど、日々の日光浴によって十分なビタミンDを得ています。

ただし、日光の浴びすぎは皮膚がんのリスクを高めるため、要注意です。日光浴をする際は、紫外線量の多い時間帯を避けるようにしましょう。

なお、ビタミンDは、魚介類やきのこ類、卵類、乳製品に多く含まれています。ビタミンDは油に溶けやすいため、油分の少ないきのこなどは炒め物や揚げ物にして、少量の油と一緒に摂るようにしましょう。

食べ物に含まれるビタミン (4) ビタミンE

ビタミンEは、肌の保湿剤の成分としてよく使用されています。これは、ビタミンEが健康的な肌を保つうえで重要な役割を果たしているからです。

人の体は、肌の毛穴から分泌される皮脂を通じてビタミンEを生成します。皮脂は肌を保護し、肌の潤いを保つために欠かせません。しかし、皮脂に含まれるビタミンEの量は、年齢とともに減少します。

そこで効果を発揮するのが、塗るビタミンEです。ビタミンEを肌に塗ると、肌のビタミンEの濃度が上昇し、有害なフリーラジカルから肌が守られるため、炎症が抑えられます。

ビタミンEを多く含む食品は、植物油やナッツ類、緑黄色野菜などです。通常は、食事だけで十分な量をまかなえます。サプリメントでも摂れますが、ビタミンEの過剰摂取は健康に害をおよぼしかねないため、十分に注意しましょう。

食べ物に含まれるビタミン (5) 亜鉛 

亜鉛はビタミンではありませんが、ビタミンと同じくらい大切なミネラルです。

亜鉛は一日に必要な量がごくわずかであることから、「微量ミネラル」と呼ばれています。だからといって、欠かすわけにはいきません。亜鉛は肌の細胞にとって非常に重要なミネラルで、肌の一番上の層には、それ以下の層に比べて最大で5倍もの亜鉛が含まれているのです。

亜鉛は、皮膚が治癒する過程でも重要な役割を果たしています。免疫機能を高め、新たな皮膚細胞を作るときにも必要です。

また、ビタミンCやEと同じように、抗酸化作用を備えているのも亜鉛の特徴の一つです。有害なフリーラジカルの生成を抑えるのに効果的です。さらに、亜鉛には紫外線をブロックする効果があるため、日焼け止めにもよく使用されています。

亜鉛を多く含む食品は、赤身肉や鶏肉、魚介類のほか、豆類やナッツ類などです。特に牡蠣やウナギのかば焼きには多く含まれているので、覚えておきましょう。

食べ物に含まれるビタミン (6) ナイアシン

ナイアシンはビタミンB3の別名です。ナイアシンアミドと呼ばれるビタミンB3の誘導体は、さまざまな化粧品の成分としてよく使用されています。ナイアシンアミドは、発疹や皮膚の赤みをやわらげるとともに、シワを目立たなくすると考えられています。

ナイアシンは多種多様な食品に含まれていますが、たっぷり摂りたい場合は、肉や魚介類、一部の栄養強化型シリアルを食べるようにしましょう。

食べ物に含まれるビタミン (7) ビタミンB5(パントテン酸)

ビタミンB群に属するもう1つのビタミンが、ビタミンB5です。別名の「パントテン酸」という呼び方のほうが、よく知られているかもしれません。

スキンケア製品の成分としてよく使用されるパンテノールは、保湿成分としてビタミンB5から作られる化学物質です。パンテノールは、肌を炎症や乾燥から守るためにも役立ちます。

ビタミンB5は、肉や乳製品、穀物、野菜など多くの食べ物に含まれているため、日々の食生活に取り入れやすいでしょう。

食べ物に含まれるビタミン (8) 葉酸

葉酸、別名ビタミンB9もビタミンB群の一種です。妊娠中にサプリメントとして摂取される合成の葉酸のほうが、馴染み深いかもしれません。

葉酸は、新しい細胞の成長に不可欠な栄養素です。肌の健康にも重要な役割を果たすことから、化粧品の成分として使用されることもあります。ある研究では、アミノ酸の一種であるクレアチンと葉酸が含まれる混合物を肌に塗ったところ、ハリが改善するという結果が得られました。

葉酸は、朝食用のシリアルやパン、フルーツジュースなどに含まれています。食事から十分な量が摂取できるため、妊娠中など特別な場合を除いてサプリメントなどを使用する必要はないでしょう。

ビタミンは食べるべきか、塗るべきか

今回紹介したビタミンやミネラルの一部は、美容液や保湿剤などのスキンケア製品の成分としてよく見かけるものかもしれません。サプリメントというかたちでも目にしたことがあるでしょう。

サプリメントとして飲む(または食べ物から摂る)べきか、あるいは肌に直接塗るべきかの判断は、対象となるビタミンまたはミネラルによって異なります。日々の食事を通じてすでに十分なビタミンやミネラルが摂取できている可能性もあるため、サプリメントの摂取を検討している場合は、利用する前に医師に相談しましょう。

また、肌に良いからといって、あらゆる栄養素をやみくもに多く摂取するのは得策ではありません。過剰摂取にならないように配慮しながら、各ビタミン・ミネラルをバランスよく摂ることを心がけてください。

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