唇は、お顔の印象を左右するとても重要なパーツです。一方で、唇はトラブルが起きやすい場所でもあり、また年齢とともに唇の形は変化します。

 

なかなか治らない唇のカサカサや皮むけ、諦めていませんか?唇にできてしまったシミが消えない、口角が下がってなんとなく不機嫌に見えてしまうといったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

 

唇に関するお悩みは、「質感」「色」「形」のお悩みの3つに大まかに分類することができます。

今回は、「唇」の三大悩みとその解決法についてご紹介します。

 

監修・取材協力: 堀内 祐紀 先生(秋葉原スキンクリニック 院長)

「質感」のお悩み解決法:カサカサ、皮むけ など

唇に関するお悩みで多いのは「質感」に関するお悩みです。唇がカサカサする、皮がむけてしまうといった悩みを抱えられる方は多く、また、乾燥や皮むけがひどくなって、リップラインと皮膚の境目がぼやけてしまうこともあります。

こういったお悩みの原因は、乾燥、紫外線、そして唇への刺激です。(1),(2)特に最近は、マスクを着用している時間が長くなっているため、マスクによる刺激で唇が荒れてしまう方も少なくありません。

カサカサや皮むけが気になるという方は、まずはリップクリームなどでしっかりと保湿をしてあげることが大切です。最近ではさまざまな形のマスクが手に入りますので、なるべく唇に生地が触れないような形のマスクを選ぶこともポイントです。また、マスクを外した際には必ずリップクリームを塗ると、乾燥を防ぐことができます。

日々のケアでなかなか症状が改善されないという方は、一度お近くの皮膚科や美容皮膚科に相談されてみてもよいかもしれません。

皮膚に炎症がある場合は、お薬を塗る場合もあります。医療機関のみで取り扱っているリップ美容液で一時的ではありますが唇をふっくらさせ、より艶感を出すこともできます。

また、それでも改善が難しい場合には、潤いを保持する効果のあるヒアルロン酸を唇に直接注入する「ヒアルロン酸注入治療」という方法もあります。(3)ヒアルロン酸注入治療を受けることで、リップクリームを常に塗るストレスから解放されるというメリットもあります。

「色」のお悩み解決法:黒ずみ、薄い茶色のシミや、青っぽいシミ など

次は「色」のお悩みです。唇への何らかの刺激によってメラニンが増えると、唇が黒ずんたり、シミができます。実は、唇のシミは、お顔のほかの部分よりも若いうちからできる傾向があります。その他にも、唇の血管が変化して、青っぽい濃いシミのようなものができることもあります。
 

唇が黒ずんでいると、顔色も悪く見え、疲れた印象を与えてしまうこともあります。また、唇にシミがあると、リップメイクの妨げになることもあるでしょう。

日々のケアで改善が難しい唇の黒ずみやシミには、レーザー治療や美白スキンケア、アートメイクという方法があります。

※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません

「形」のお悩み解決法:口角が下がっている、唇が薄くなった など

最後は「形」のお悩みについてです。形に関するお悩みは、口角が下がっているというお悩みや、年齢とともに唇が薄くなった、ハリがなくなったというお悩みなど多岐に渡ります。
 

まずは、口角が下がっているというお悩みについて、ご説明します。口角を上に引っ張る筋肉より、下に引っ張る筋肉が強く働くと、口角は下がります。(4)大人になると、子どもの頃に比べ笑う回数が大幅に減ると言われていますが、笑う機会が減ると、口角を上に引っ張る筋肉が弱まります。最近ではマスク生活により笑う機会が減ってしまったことで、口角が下がりやすくなっています。

口角を上げるために、日常生活で取り入れやすい方法では、お顔の筋肉を鍛える「顔ヨガ」や舌を鍛える体操が効果的です。

美容医療では、ヒアルロン酸注入治療」などで口角を持ちあげる方法があります。(3)手術というオプションもありますが、長期的な影響も踏まえ、医師と相談した上で慎重に検討する必要があります。

その他、年齢とともに唇が薄くなった、ハリがなくなったというお悩みは、実は口元の皮膚や筋肉、歯の変化など、さまざまな要因によって起こっています。唇の形の変化は、唇だけの問題と考えてしまう方も多いのですが、実は複合的な要因があるのです。

年齢にともなう唇の形の変化にお悩みの方は、医師に相談した上で適切な治療を見極めることが大切です。

知ってほしい、唇の大切さ

唇を整えてあげることで、お顔の印象は大きく変わります。唇の黒ずみやシミを治療すると、お顔の表情も明るくなり、口元のお化粧を楽しむこともできます。また、唇の形を少し整えるだけで、お顔の全体の印象が若々しくなり、横顔も美しくなります。
 

普段のケアでなかなか治らない唇に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献
(1) 友木 依里子,関東 裕美,辻 行貴:日本化粧品技術者会誌. 2018;42(1);1-8.
(2) 丸山 実,菅沼 正次,土屋 千恵子,塩沢 順二,西村 桂一:日本化粧品技術者会誌. 1989;23(3);183-189.
(3) 美容皮膚医学 BEAUTY Vol.4 No.11. 医学出版. 2021.
(4) 安田 利顕,漆畑 修:美容のヒフ科学 改訂10版. 南山堂. 2021.
(5) PEPAARS No.170. 全日本病院出版会. 2021.

監修・取材協力

秋葉原スキンクリニック 院長 堀内 祐紀 先生

秋葉原スキンクリニック 院長 堀内 祐紀 先生

東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学皮膚科学教室入局後、都内皮膚科・美容クリニック勤務を経て、2007年秋葉原スキンクリニック開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本脱毛医学会理事。日本皮膚科学会・日本美容皮膚科学会・日本レーザー医学会・日本抗加齢医学会・日本香粧品学会 所属。Allergan Medical Institute Japan Faculty。一般社団法美容皮膚エキスパート協会代表理事、Aesthetic Medical Academy理事。保険治療だけでなく美容治療を各種取り揃え、さらに肌を良くしたい!という気持ちを叶えるために、エビデンスのしっかりとした治療を、自信を持って届ける。

秋葉原スキンクリニック

住所:〒101-0021 東京都千代田区外神田4丁目6−7 カンダエイトビル 2階/3階

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