肌を綺麗にする方法を知りたいという方は多いでしょう。
巷では美しい肌を目指す方法として、スキンケアや食生活・生活習慣の改善、運動、クリニックによる治療などさまざまなポイントが挙げられています。
そこで今回は「肌を綺麗にする方法」について、秋葉原スキンクリニック 院長 堀内 祐紀 先生に解説していただきました。
監修・取材協力:堀内 祐紀 先生(秋葉原スキンクリニック 院長)
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肌を綺麗にする方法を知りたいという方は多いでしょう。
巷では美しい肌を目指す方法として、スキンケアや食生活・生活習慣の改善、運動、クリニックによる治療などさまざまなポイントが挙げられています。
そこで今回は「肌を綺麗にする方法」について、秋葉原スキンクリニック 院長 堀内 祐紀 先生に解説していただきました。
監修・取材協力:堀内 祐紀 先生(秋葉原スキンクリニック 院長)
「美しい肌」「綺麗な肌」の理想的なイメージは、「小さな子どもの肌」だといわれています。一体どんな状態の肌が綺麗といえるのか、具体的な条件を挙げてみましょう。
潤いのある肌とは、肌表面の角層の水分量が十分で、適度な皮脂がある肌の状態のこと。
また、ハリのある肌とは、表皮を支えてハリを生み出すコラーゲンや、肌に柔軟性を与えるとされるエラスチン、ヒアルロン酸などの働きによってつくられます。(1)
潤いやハリが十分にあって、みずみずしく手に吸いつくような触り心地の肌は綺麗な肌といえるでしょう。
肌のキメとは、肌表面の皮溝と皮丘で形成された、比較的小さな凸凹のことをいいます。
肌のキメは季節や年齢、体調の変化などの肌を取り巻く環境によって変化し、年齢が上がるにつれて一定でなくなることが少なくありません。(2)
したがって、この凸凹が肌全体で均一に整っていると、肌がなめらかに美しく見える綺麗な肌といえます。
毛穴を目立たせる一因になるのは、乾燥などによる肌のバリア機能の低下です。バリア機能が低下すると角質が硬くなるとともに毛穴が開いた状態になり、目立ってしまうとされています。(1)
つまり、肌が乾燥しておらず、バリア機能が正しく働いている肌は美しい肌といえるでしょう。
また、毛穴を目立たせるそのほかの要因として、皮脂腺が多い、たるみによる毛穴の変形、炎症による角化なども挙げられます。(3)~(5)
肌トラブルとは、主に乾燥による肌のかゆみやカサつき、赤み、小さなにきびやザラつき、皮脂の過剰分泌など、治療が必要というまでではないものの、肌が健康とはいえない状態になっていることや、加齢によるシミ、しわ、老人性のイボなどのことをいいます。
つまり、そうしたトラブルがなく、なめらかで整った肌=美しい肌といえるわけです。
血液は全身に酸素や栄養を運ぶ役割もあるため、血流の滞りのない肌は、適度な赤みがあり、健康的に見えます。
ただし、血流が良すぎると、いわゆる「赤ら顔」と呼ばれる状態になることも あります。(1)
血流が悪い影響で顔色が青白い状態も肌は美しく見えないので、適度な血流であることがポイントといえるでしょう。
綺麗な肌を保つには、肌トラブル(肌荒れ)を避けることが重要です。
肌トラブルを引き起こす要因はさまざまあり、大きくは外的要因(外部からの刺激)と内的要因(からだの内側からの影響)に分けられます。
なかでも「乾燥」は、肌のバリア機能を低下させ、トラブルが生じやすい肌状態にしてしまうため注意が必要です。
肌の乾燥は秋冬だけに起こると思われがちですが、春や夏にも起こります。
春夏で問題になるのが「エアコン」や「紫外線」の影響です。
オフィスワークなどで、エアコンの効いた環境に1日中いることが多い方の場合には、汗をかく機会が少ないため、肌が乾燥しやすくなります。また、エアコンの風にあたることで特にお顔の肌が乾燥しやすくなります。
また、春先から増える紫外線も、間接的に乾燥を招く原因になります。
紫外線を浴びると、肌の細胞内に大量の「活性酸素」という物質を発生します。活性酸素は、肌の細胞を傷つけバリア機能を低下させるため、乾燥につながります。
そうですね、秋冬に乾燥を感じやすい理由は二つあります。
一つ目は、気温が低くなり外気の湿度が下がることで、皮膚から水分が飛びやすくなるためです。ただし、湿度は地域による違いもあります。例えば、雪が多い日本海側よりも、雪がない太平洋側の方が湿度は低いです。
二つ目は、体温が下がることで「皮脂分泌」の低下が起こるためです。汗の量が減り、皮脂の量も減ることで、肌がカバーされなくなるため、乾燥しやすくなります。
加えて、熱いお風呂で皮脂が流れてしまうことも、乾燥の原因となります。
加齢に伴って、皮脂を分泌する「皮脂腺」の活動が低下し、角質細胞間脂質(セラミドなど)、天然保湿因子も減少することにより水分保持能が低下しやすくなります。
皮脂腺の活動は思春期あたりから増加し、その後、年齢と共に徐々に減少していくのが一般的です。30代、40代あたりから、皮脂線の活動は低下していくと考えたほうがよいでしょう。
肌の乾燥、つまり角質層の水分量が減少して肌のバリア機能が低下すると、「しわ」や「毛穴」などの肌トラブルが起きやすくなります。
皮膚表面の水分量が少ないと、皮膚が折れ込んで戻らなくなる「小じわ」が発生しやすくなります。また、肌が乾燥していると新陳代謝が落ち、毛穴に角栓が溜まってしまうことも。乾燥を補うために皮脂が過剰に出て、乾燥しているのにベタベタするなどのトラブルが起きることもあります。
その他には、40代以降、いわゆる「たるみ毛穴」が起きているところに肌の乾燥が加わると、毛穴同士がつながって線状のしわのようになってしまうことがあります。
乾燥はさまざまな肌トラブルに派生しますので、保湿のためのスキンケアを正しく行っていくことがとても大切です。
美しく健康な肌を維持するには、どのような方法が有効なのでしょうか。詳しく解説しましょう。
肌を綺麗にするためにスキンケアは有効な方法といえます。
スキンケアは肌との対話です。自分の肌を知り、肌との対話の中で何が必要かを探っていくことで、自分らしい美しい肌を手に入れることができるでしょう。
スキンケアに関して気になることやよくある疑問を堀内先生に伺いました。
――Q.肌の乾燥を防ぐための、クレンジングと洗顔のポイントは?
クレンジングも洗顔も、何より手早く行うことが大切です。
ほとんどのクレンジング・洗顔料には「界面活性剤」が使用されています。界面活性剤は、本来は混ざり合わない水と油を混ざり合わせる作用を持っているため、水だけでは落ちないメイクや油汚れなどを落とす力があります。
一方で、界面活性剤の量が多ければ多いほど、肌に必要な皮脂まで奪い、肌を乾燥させるデメリットもあるのです。だからこそクレンジングや洗顔は時間をかけず手早く行い、丁寧に洗い流すことが大切です。
また、肌をこするように洗うのは肌への摩擦になるため、優しく・手早くを意識すると良いでしょう。
――Q.クレンジング後には必ず洗顔もした方が良い?
ダブル洗顔は乾燥を招くと思い込んでいる方もいますが、実はこれはケースバイケースです。
――Q.日頃の保湿ケアで気を付けるべきポイントは?
スキンケアというのは本当に難しくて、すべての人にとってこの方法がよいという魔法のような答えは残念ながらありません。
個々の肌によって、適切なスキンケアは異なります。また、季節や年齢によっても、必要なスキンケアは変わります。
ひとつ知っておいていただきたいのは、普段使っているスキンケア化粧品が沁みる時は、肌がSOSを出しているということ。そんな時は、無理して刺激のある化粧品を使い続けず、肌を休ませてあげてください。
――Q.なんでも「塗ればよい」ということではない?
そうですね、肌の状態が整っていれば、スキンケアは最小限で済みます。
「化粧水だけでスキンケアを終わらせて油分を与えないと、水分が蒸発するからNG」といった話も聞かれますが、私はそんなことはないと考えています。多くの化粧水には少なからず油分が含まれていますし、何より肌も自ら皮脂を分泌して潤う力を持っています。
化粧水だけでスキンケアを終わらせても肌が潤っている人もいますし、反対に化粧水や美容液、乳液、クリームといった化粧品をフルコースでつけても乾燥を感じる人もいます。
肌に何が必要かは、その人の肌状態だけが知っているのです。たくさん塗らないと潤わないという人は、肌自身が持つ潤いを保つ力が弱くなってしまっている可能性もあります。
自分の肌が落ち着く状態を探り、肌にあったスキンケアを行うことが何よりも大切です。
日焼け対策は綺麗な肌になるために有効な方法です。
日焼けとは、からだが紫外線による被害を防ごうとする反応です。紫外線はシミ、しわなどの光老化をはじめ、皮膚がん、免疫機能の低下など肌に多くの影響を与えるとされています。(6),(7)
紫外線による肌への影響をできるだけ少なくするには、まず日焼け止めを塗ることが大切です。パッケージに書かれた適量をしっかりと塗り、肌を紫外線から保護しましょう。
ただし、紫外線から肌を守るため日焼け止めに配合されている紫外線散乱剤により肌が乾燥しやすくなることがあります。
化粧水を2度つけるなど保水をメインとしたスキンケアを行ったり、肌質に合わせて日焼け止めに美容成分や保湿成分が配合されているものを選ぶといいかもしれません。
また、日焼け止めのほかに、日傘や帽子・サングラスを利用するなどして、上手に紫外線を防ぎましょう 。(6)
食生活を整えることも、健康で美しい肌を維持するために有効です。
ビタミンを多く含む野菜を積極的に摂りつつ、エネルギーのもとになる栄養素である、たんぱく質、脂質、炭水化物も含めてバランスよく摂取することを基本とした食生活にすると、からだ全体が健康になり、それに伴って肌も美しく整っていくはずです。特に、糖質過多や乳製品の摂りすぎは、ニキビなどの肌荒れを起こす場合があり注意が必要です。
加えて、人によっては身体に合わない食材を摂取することで、肌や体調に変化が生まれている場合もあります。気になる方は検査で調べてみるのも良いでしょう。
肌を綺麗にするために運動は大切です。
肌にはからだ全体の健康状態が反映されるため、運動をすることで肌にも良い影響が生じ、美しい肌が保てると考えられます。
ちなみに、30代女性を対象にした運動習慣の有無と肌の状態を調べた調査では、日常的に活動量の多い人のほうが、活動量の少ない人と比較して肌の水分量が多く、キメが整っている傾向にあるというデータもあります 。(8)
睡眠や入浴、ストレスとの付き合い方など、ちょっとした生活習慣の見直しが綺麗な肌の維持にもつながることがあります。
睡眠不足は全身の健康に影響を与えます。からだ全体の健康状態が反映される肌にも、その影響が現れると考えられます。
睡眠不足や寝付きの悪さを感じている人は、例えば寝る直前にはPCやスマホ、タブレットなどのブルーライトを発する機器の使用を避けるのも一つの方法です。
また、就寝のルーティンづくりも大切でしょう。いい香りの入浴剤を使って入浴する、ベッドに入る前にコップ1杯の水を飲むなど、自分なりにリラックスできる習慣があるといいかもしれません。
肌を綺麗にするために入浴も大切です。入浴には肌を清潔にするほか、入浴によって血流が促されることで肌に栄養を届けたり、肌の色を綺麗に見せたりする効果も期待できます。
入浴後にはしっかり保湿をして肌のバリア機能を高めておくことも忘れずに。
肌を綺麗にしたいなら禁煙が大切です。
タバコはコラーゲンの分解を促進し、肌の弾力性を失わせ、シミやしわを増加させることがわかっています 。(9)また血流を妨げることにより、肌の血色も失われるため、肌にとって喫煙はいい効果があるとは言えません。
肌の状態がこころの状態とリンクすることは決して少なくありません 。(10)
ストレスをまったくなくすことはできませんが、自分なりのストレス発散方法を持って、ストレスと上手に付き合い、綺麗な肌を保っていきましょう。
肌を綺麗にする方法として、マッサージや表情筋エクササイズ、ツボ押しは一定の効果があると考えられますが、行う際には注意が必要です。
マッサージについては、クリームなど肌の摩擦を防ぐアイテムを使いながら行いましょう。滞ったリンパの流れを良くするよう、顎や首の周辺をやさしくマッサージしてみてください。
表情筋のエクササイズも、血流の促進やたるみの防止に有効なことがあります。ただし、皮膚を動かすことで表情じわが刻まれやすくなることには注意しておきましょう。
ツボ押しも気分転換になりますが、グイグイ強い力で押しすぎて色素沈着を起こしたり、痛みが生じたりしないように注意しましょう。
美容医療は、肌を綺麗にするために有効な方法です。
化粧品によるスキンケアでアプローチできるのは、肌表面の角質層まで。食生活や生活習慣の改善では、からだの内側から肌にアプローチできますが、日々の積み重ねが必要で、ハッキリとした効果や変化を感じるまでには時間がかかります。
美容医療では、行う治療の種類にもよりますが、肌表面よりも深い層までアプローチすることが可能です。また、短期間で効果が期待できる点も魅力的といえます。
美容医療は、医師の診断に基づき、短期間で肌を綺麗にする効果が期待できるのが魅力です。
肌を綺麗にする治療(肌質改善治療)で選択される代表的な治療法には、以下のようなものがあります。
※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません
今回は、しわやたるみの改善をはじめ、肌質の改善にも効果が期待できる「ヒアルロン酸注入治療」について紹介します。
ヒアルロン酸注入治療は、ほうれい線などの深いしわや、たるみ改善に選択されていますが、実は肌質改善にも役立ちます。
ヒアルロン酸を肌に注入することで肌に水分が蓄えられるため、皮膚の保湿感が内側から演出でき、弾力感の向上が期待できます。
さらに小じわの改善にもつながるので、しわの少ないなめらかな肌も目指すことができるのが、ヒアルロン酸注入による肌質改善治療のメリットです。(11)~(13)
興味のある方はクリニックで医師と相談してみるといいでしょう。
SNSではさまざまな保湿ケアに関する情報が紹介されています。
美容皮膚科医としての見解を教えていただきました。
洗顔に使う水は30℃くらいのぬるま湯か冷たすぎない水が良いと考えています。
熱いお湯は肌に必要な皮脂まで洗い流してしまうので注意してください。冷たすぎる水での洗顔は、汚れが落ちにくく、また肌が冷えて血行不良を起こしてしまうため良くありません。
個人の肌質、体質によると思います。ベビーオイル自体には、通常、皮膚に強い刺激を与える成分は入っていないため、ベビーオイルでの洗顔を試してみて、肌が安定するなら行っても良いと思います。
ただ、脂性肌の方やしっかりメイク派の人がベビーオイルだけでクレンジングも洗顔もすませるのは、汚れがきちんと落ちているのか心配になります。
実践する場合は、ベビーオイルでの洗顔方法をよく確認し、自分の肌質やメイクと合っているかきちんと判断してから行いましょう。
肌を叩くこと自体が肌への刺激になり、それが炎症につながる可能性もあるので叩くことは良くない行為です。
コットンにつけるのも手でつけるのもお好みですが、コットンの場合もパンパンと叩いたり、こすったりしないようにしましょう。手でつける時もしつこく何度も手をすべらせたりせず、両手で包み込むようになじませるのがポイントです。
毎日パックを行って肌の調子が良い人は使っても良いと思います。
しかし、パック自体に防腐剤や油分が多く入っている場合もあり、使用しすぎると肌トラブルを起こす場合もあります。まずは使用上の注意をしっかり確認し、適度な使用に留めましょう。
ワセリンは皮膚への刺激が少なく、ラップのように肌の水分の蒸発を防いでくれるという利点があるので、NGとは思いません。
ただ、これも自分の肌質やその時の肌状態によっては逆効果になる可能性もあるので、自分自身で判断していく必要があります。
スチーマーを使うと蒸気で肌が潤ったように感じるかと思いますが、スチーマーを使った後にきちんとお手入れをしないと逆効果になることも。
スチーマーは肌を柔らかくし毛穴を開かせる効果がありますが、逆にいうと角質層をふやけさせているということにもなります。ふやけた角質層は外からの刺激も受けやすいので、非常に危ういのです。スチーマー後はきちんと水分と油分を肌に補い、角質層を守ってあげることが大切です。
参考文献
(1)病気がみえる Vol.14 皮膚科 第1版.メディックメディア,2020.
(2)秋本眞喜雄 池田夏穂 前田栞 渡邉碧 前田憲寿:第59回自動制御連合講演会. 2016;708-710.
(3)飯田 年以,小野 隆之:日本化粧品技術者会誌. 2016;40(1);1-7.
(4)水越 興治,及川 みどり,伊藤 夕子,小林 和法,今村 仁,松本 克夫:日本化粧品技術者会誌. 2007;41(4);262-268.
(5)樋口 美雪,北原 清志,清水 佳代子,平井 克彦,松本 俊,高橋 元次:日本化粧品技術者会誌. 2016;50(4);321-328.
(6)環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
(7)Canadian Dermatology Association
(8)白土真紀:体力科学. 2022;71(1);134.
(9)Morita A, et al. J Invest Derma Symp Proc 2009;14;53–55.
(10)上出 良一:心身医学. 2017;57(12);1210-1214.
(11)Juvéderm® VOLITE Directions For Use 73140JR10. February 2016.
(12)Allergan Data On File INT/0448/2016 (1). Skin Quality Insights. July 2016.
(13)12De Maio M et al. Aesth Plast Surg. 2004;28:295-300.
東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学皮膚科学教室入局後、都内皮膚科・美容クリニック勤務を経て、2007年秋葉原スキンクリニック開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本脱毛医学会理事。日本皮膚科学会・日本美容皮膚科学会・日本レーザー医学会・日本抗加齢医学会・日本香粧品学会 所属。Allergan Medical Institute Japan Faculty。一般社団法美容皮膚エキスパート協会代表理事、Aesthetic Medical Academy理事。保険治療だけでなく美容治療を各種取り揃え、さらに肌を良くしたい!という気持ちを叶えるために、エビデンスのしっかりとした治療を、自信を持って届ける。
秋葉原スキンクリニック
住所:〒101-0021 東京都千代田区外神田4丁目6−7 カンダエイトビル 2階/3階